なぜ英文を読むのは難しいのか

慣れないうちは、英文を読むのは難しいです。
なぜ難しいか考えて真っ先に思いつく理由は、知らない単語が多いということです。
しかし、本当はもっと隠れた弱点があるのです。それは、知っている単語を自信を持って読めていないということです。

知っている単語に落とし穴がある

最初は、知っている単語・表現だけで書かれた英文を読んでもすぐには理解できません。また、たとえ意味は分かったとしても、なんとなく曇りガラス越しに見ているようなぼんやりとした理解の仕方になってしまいます。
言い換えると、単語などを知識としては知っているが、見てすぐ理解するだけの瞬発力が身に付いていない状態です。
英文を読む上で知らない単語の存在が弱点となっているのはもちろんですが、知っているけどすぐに意味が思い浮かばない単語の存在もまた弱点なのです。

この状態で未知語を調べたらあとはすんなり英文を読めるかというとそうは簡単にいきません。また、いちいち未知語を全部調べていたら読めるものも読めません。かといって未知語を全部飛ばして読んだら話の流れを見失う―

英文を読むのが難しいことの本質は、このジレンマです。

もちろん、中には未知語を辞書で調べながら読める人や、未知語を飛ばしながらすんなり読める人もいます。そうした人たちはそもそもこのジレンマにはまっていません。
なぜなら未知語以外の箇所を読むことに不安もないし苦労もしていないからです。

しかし、本当につまづいているのはどちらもできない人、つまり未知語はもとより知っている単語だけで書かれた英文さえも不安な気持ちで読んでいる人です。不安になってしまうのは、知っている単語との付き合いがまだ浅いために、見てすぐ意味が分かる状態になっていないからです。

よくある的外れなアドバイス

したがって、こうした人たちに対して「辞書を引いてください英英辞書がいいです調べないといつまでたっても分からないままです」とか「分からないところは絶対に辞書を引いてはいけません引いたらリズムが乱れてちっとも読めません未知語は推測することが大切です」といったアドバイスをするのは的外れです。

やらなければいけないのは、簡単で自分では分かっているつもりだが、実は単に知っているだけにとどまっていて意味がすぐに浮かばないような英文をたくさん読むことです。そして、「単なる知識」を「見てすぐ理解できる知識」に変えていく、その結果として自信を持って読めるようにすることです。