増田式英語学習法プレイバック30

ある特定の英語学習法が誰にでもあてはまることはありません。
ある特定の人達にある特定の英語学習法があてはまる、というのが本当のところです。
さらにいえば、その人に当てはまる英語学習法は一つに限らずたくさんあって、それらをいいとこどりしながら自分用の学習法ができあがっていくわけです。



日向清人のビジネス英語雑記帳 (続)語学ができる人を真似するというアプローチ

ここで大事なのは、good learner は誰しもストラテジーをうまく組み合わせているということです。よく「このやり方が絶対いい」と頑張る人がいますが、それはいいやり方の一つであり、成功している人たちはそういった「いいやり方」を自分に合った組み合わせにして活用しているのです。



…「この方法で行け」と言える万能のアプローチはなく、人それぞれなので、学習者自身、自分の学習プロセスを客観的にモニターしつつ軌道修正していき、自助努力で最適の「パッケージ」を考える必要があるとされています。


だから、英語学習法は万能でなくても構わないし、むしろ英語学習法の側で最初から対象となる人を絞っておいて合う合わないは読み手に委ねてしまうのが一番いいのです。
この場合、英語に慣れた人は自分にとって有効かどうか取捨選択できますので、仮に万能を謳う英語学習法があっても例えどれだけ偏った内容であっても何の問題もありません。
問題は、英語に慣れていない人が効果的な取捨選択をできないことにあります。
したがって英語学習法の書き手が、自らの方法は特定の人向け(例えば勉強に慣れている人向け)だと気付かずに万能を謳うとき、その方法はダメな英語学習法になるのです。


増田式英語学習法をこの視点で見ていくならば、「英語ができるようになるたった一つのやり方」というタイトルもまったく問題なくて、要するに合う合わないを読み手が取捨選択すればいいだけの話です。
書き手も万能じゃないことは百も承知で、俺様のやり方は合わん奴もいるだろうがそんなん知らん!っていうスタンスで構いません。


これに対してダメな増田式英語学習法のパターンは、最初は威勢よく「英語ができるようになるたった一つのやり方」と啖呵を切っておきながら、いざコメントが付いたら「いや、これは〜な人を想定して書いたので、…な人はこっちがおすすめ」と軌道修正するもの。
軌道修正するくらいなら最初から対象を絞っておけばいい。
絞りたくないなら、取捨選択は読み手に丸投げしてどーんと構えていればいい。
ある意味独善的というか、一方に振れているほうが読み手も取捨選択しやすいからです。


そんな観点から、これまで登場した増田式英語学習法を振り返ってみましょう。


1.勉強の費用対効果
注意して読めば、この方法の対象者が“塾でも学校でもなんでもいいので、指示にしたがって、ぐーたら勉強”できる優秀な人に限定されていることが分かります。
そこに気付きさえすれば、そもそもロイヤル英文法の通読なんて可能なのか?という疑問は起こりません。


もっとも、これが優秀な人向けの学習法だと理解したうえでもなお、ジェフの歌声を3年聴いたぐらいで映画が字幕なしで理解できるようになるって本気なのか?なんで算用数字が全角だったり半角だったりするのか?という疑問は残りますが。


英語学習法の中には、AをやればBができるようになりますよ♪あなたもやってみよう♪という系統のものがあります。
好きな洋書を読んでみよう!と言われてもちっとも読めない人がいることを念頭に置いていないこうしたお花畑な学習法を、私は自分の中でメルヘン学習法と呼んでいます。
このエントリは少しだけメルヘンの香りがします。


2.http://anond.hatelabo.jp/20080224021520

中学レベルの文法を完全にマスターしてもらった上で、つぎに、英語だけで書かれた文章を英語の絵本から初めてペーパーバックのレベルまで多読をすること…(中略)…高校文法のマスターにも手をつけてもらうのが良いと思ってる。
この方法で、たとえば、自分が教えてた高校3年生のヤツは、春に中学英文法もまるっきり覚えてない状態で勉強を始めて、夏休みが終わる頃にはセンター試験で7割5分取れるようになったよ。

ペーパーバック読めるところまでいってるのにセンターで7割5分?
春にゼロの状態から始めて、夏の終わりにペーパーバック??


3.大学のときTOEIC390点だった社会人が1年でTOEIC「Bクラス」を出す方法
この人は語り口が優しいので、最後の“英語が苦手な人でも、1年間勉強すれば本当に「TOEIC「Bクラス」は取れる”というのもエールとして読めます。
継続すれば達成できる、継続するためにどうするか、というところを書いているのが素晴らしい。


4.そんなに英語に苦しみたいの?
英語以外の外国語まで手広くできる人が対象なのか、それとも“無茶苦茶でもなんでも、自分の考えや感情が、伝えたい相手に伝わりさえすれば、それで言葉のようは足りる”というところで満足な人が対象なのか。


みんな苦しい方法が好きなわけではなく、もちろん時間と相手側の広い心さえあれば伝えられないことはないんだと思う。
だけど、実際ホテルのフロントやスーパーのレジで“無茶苦茶でもなんでも”方式で話したところで思いっきり嫌な顔されるだけだから仕方なく勉強してるんじゃないのかな。


5.40歳平凡サラリーマンが半年でTOEIC400点から700点を獲得した方法
「獲得した方法」というのがいいですね。「獲得できる方法」じゃない。


それとブコメで、「ノウハウよりも継続することのほうが圧倒的に重要」とあるけど、ノウハウも捨てたものではありません。
勉強が得意な人は、目標があれば自分の意志でそこまで継続できる。
でも勉強が苦手な人は、目標までどうやって行ったらいいか分からないと簡単に挫折する。
そんなとき、他人のノウハウや経験談を見て「確かに目標までの道のりがある」ことを確認するだけでも継続の励みになったりします。
だから、「継続は重要」と言われれば同感だし「ノウハウばっかり追い求めてんじゃねえ」と言われればその通りだと思うけど、「ノウハウよりも継続が重要」というのはちょっと違うと思う。


6.英語を身につけるたった一つの簡単な方法

で、自分に合った方法を見つけるためにはいろいろやらないとダメなんだけど、それを「続ける」しかない。
続けないと自分に合った方法は見つからない。見出せない。

同意見です。
だからこそ、「人の英語学習法だとか体験記を読んで」参考にするのはとてもいいこと。
もっとも、この増田は“体験記を読むだけで実行しないこと”への自戒の意味でこう書いているので、それは確かにその通りだと思うけども。



7.TOEICに関して覚えておくべきいくつかのこと

勉強法はなんでもいいよ。TOEIC程度の試験だと、勉強法によって点数向上ペースにそんなに差が出ることはないです。

ああ、言っちゃったよこの人。
でもホントそう思う。
それでもなお勉強法を取捨選択するのがなぜ大事なのかというと、挫折しないやり方が人によって違うから。


8.英語ができないたった1つの決定的な理由
分かってる増田なら、「英語は単語以外ももちろん大事だけどとりわけ単語が大事」という視点を持ちつつもタイトルは敢えて「たったひとつの方法」にするから、ツッコミがあっても動じない。
でもこの増田は、同じ「英語は単語以外ももちろん大事だけどとりわけ単語が大事」という英語観なのに「たったひとつの方法」と言いたいだけの理由でタイトルを付けたせいで、内容が自分の英語観ではなくタイトルに引っ張られてしまっている。
“大事なことなのでもう一度言います”、“〜はバカなの?しぬの?”、“英語回路とかどうでもいいから、まず英単語覚えろ。な?”など決まったフレーズを使っているところからも、自分の本当の考えより先ず言ってみたい表現ありきなんだろうなということが想像できる。


だから、

単語力。これ以外に英語ができない本当の理由は実はない。他の理由はすべておまけ。

という書き出しだったのに、いざ本来の自分と同じ英語観からコメントが付くと、

そのためにはどうしても冠詞と前置詞・関係代名詞あたりのルールを感覚で理解できる必要がある。

などと、タイトル無視で補足しはじめる。


9.http://anond.hatelabo.jp/20081101193705

この増田は無駄な基礎や吹聴で固められすぎていて、情報の真偽関係なく知人が言った言葉だけを鵜呑みにしている。
情報を自分の脳みその中で判断する技術を先ず身につけ、全てを一度削ぎ落とさない事には、きっとこの先には進めない。

タイトルありきで書いて誤解を招いたのが原因なので、この批判も少し的外れだと思います。
分かりやすいように枝葉の部分を切り落とした説明なら主題はきちんと読み手に伝わるのですが、切り落したら注目されるから・切り落したらカッコいいからというだけの理由で話を単純化するととたんに真意が伝わらなくなる、というのが元のエントリの教訓です。


10.http://anond.hatelabo.jp/20081102030549
母国語習得と外国語習得を一緒にしてしまいました。
おそらくここで言いたいのは、「単語を覚えないと(原因がないと)読めないよ」とする元増田への批判として、「読んでる努力をしているうちに(結果的に)単語なんて自然と覚えちまうもんさ」ってことだと思う。「原因と結果の混同」と書いてるし。
でも、実際はどちらの考え方も一方通行すぎるのです。
よければ「疑問のないところに理解はない」も読んでみてください。


11.日本人が英語ができないたった1つの決定的な理由

実際 CNN のウェブサイト程度なら斜め読みで意味を取り違えることなく読めますし。
どうしても意味のわからない単語だったら、「ごめん、オレの知ってる単語で言い直して。」て聞き返せばいいだけの話ですし。

パソコンの画面に向かって聞き返すんだろうか?


12.受験英語じゃなくて英会話力

英語が聞き取れるというのは、”慣れ”なんだ。…(中略)…何を言うか ”無意識に先回り” できるようになることなんだ。

これは私も感じています。
ペーパーバックを読んでいると、ページの終わりで文章が途切れてて次のページに続きが書いてあるわけです。
そうすると、次のページの最初の単語を予想しながらページをめくることになる。
ジェフついでに例を出すと、“One of the things I like to do on the weekends”でそのページが終わっていたら、ページをめくるときに勝手に続きのis”が思い浮かぶ。これって「無意識に先回り」ですよね。


13.外国語学習に王道なし
続き:続 外国語学習に王道なし
最初のエントリは、王道はないけど基本はあるよ、基本をちゃんとやっていこう、という内容。これはそう思う。
そして続きを読むと、脈絡なくほかの外国語もやれとかポルノ小説を読めとか書いてある。
それって基本なんでしょうか。
メルヘン学習法。


14.お前らは英語を読んで何をしたいのかもう一度よく考えろ
これはコメントのほうに注目したい。

小説とか、ちょっと気になっただけで仕事に関係ない記事とか、理解が多少間違ってても早く読めればいい。
逆に、仕事で読む仕様書とか数学やアルゴリズムの本は、正確に読まないと意味がないから、一ページ読むのに30分ぐらいかかっても普通。
http://anond.hatelabo.jp/20090110005340

英語がめちゃめちゃできる人だけが、小説を理解度は多少落ちてもいいから早く読めるのです。
読む速度と理解度がきれいに反比例するのはそういう人だけ。
たいていは、ちょっと早く読もうとしただけで理解度が一気に10分の1になっちゃうのです。
だから、「これは気楽な内容だからざっくり読むか〜」ってのは相当高度な技術。
そんな高度な技術を身に付けて英語がめちゃめちゃできるようになってはじめて、速読という技に挑戦できるのです。



もう一つのコメント

…理解が不十分でもいいからとにかく数をこなすって結構いい訓練になるよ?
赤ん坊なんて意味が分からないうちから言葉のシャワーを浴びて覚えてくんだ。
だからまず速読を覚えて、それから数をこなして読解力を上げるってのはアリ。
…最初は理解度も低いが、読める量が増えて単語を覚えてくるとどんどん理解度も上がる。

1行目は多読、2行目は母国語話者の言語獲得、3行目は速読の話。ごった煮。
でもこの人が出している具体例と「知らないと損する英語の速読方法」の速読は全く違う。
だから議論が噛み合わない。


そして最後にさらっと「単語を覚えてくるとどんどん理解度も上がる」って書いてある。
“速読”が理解度と関係ないならいったい何のために“速読”するんでしょうか。
おそらく、単語一つ一つの理解を積み上げて英文全体を理解しようとする学校英語への批判として、先に目だけ早く動かして後から単語の理解を付け足す方法でもいいんじゃないかということらしい。
仮にそういう方法が正しいとして、大学受験後の経験と母国語話者の話を並べるのは無理があると思う。


15.日本人が英語が出来ないって、聞けないって問題じゃないの?

…ゆっくりはっきり言えばちゃんと通じる。
でも聞く方は全然聞こえない。話す方が10割のうち9割なんとかなるとしたら、聞く方は10割のうち1割しか出来ない感じ。
完全に逆転。1割って、はっきり言って全然分かんないってことだから。
…(中略)…相手がかなりゆっくりはっきり特別に話してくれてようやくコミュニケーションとれる感じ。

“ゆっくりはっきり言えばちゃんと通じる”から“話す方が10割のうち9割なんとかなる”。
一方、“相手がかなりゆっくりはっきり特別に話してくれてようやくコミュニケーションとれる”程度だから“聞く方は10割のうち1割しか出来ない感じ”、っていう評価はおかしくね?
相手がゆっくり話してくれればちゃんと理解できるなら、聞く方も10割のうち9割なんとかなると言っていいんじゃないだろうか。
もしくは、ゆっくりはっきり言わなきゃ通じないなら話す方も10割のうち1割しか出来ない感じと言っていいんじゃないか。

PS このエントリのポイントは、話す能力と聞く能力のバランスです。

とあるけれども、そういう意味で“話す能力と聞く能力のバランス”はちゃんと取れていると思います。
バランスが取れていないのは、この増田が獲得したいと思っている話す能力と聞く能力それぞれの基準でしょう。


16.「脳の文法中枢」というニュースを読んで英文法について想い出したこと、考えたこと

学習の全体像と個別項目の位置づけは大事。

同意見です。
我田引水で「全体を見渡すか、それとも一つずつ地道に攻めるか」


17.英語コンプの馬鹿でも投資ゼロでTOEIC900に達するたったひとつの方法
内容は結構好き。
だけど「内容が多様なニーズに応えられてないなぁ」と思って補足するなら、最初のエントリいらないじゃん。
多様なニーズになんて答えなくていいから、あくまでこれがたったひとつの方法だと言ってのけてほしい。
書いてあることが良いだけに惜しい。


18.急がばまわれ式・堅実で一番効率的な英語の勉強法
効率的というところが若干ひっかかるけど、これも好きなエントリ。
ただ、対象を考えないと学習法を提案する意味がない、ということで基礎から始めることを勧めているけれども、内容は要するに勉強ができる人向け。
それは、

巷にあふれかえる英語の勉強法は、基礎力がないのにいきなり実践を勧めるものが多い。

という問題意識の後で、1.文法と単語をやったら2.「John Grisham, Sydney Sheldonの小説を読むといい」と飛躍するところからも良く分かる。
1と2の間には大きい溝があるので、そんなに事もなげに言われると鼻白む。


だから、できればもっと読者を限定して好き勝手書いてもよかったと思う。
『日本人の英語』と『ロイヤル英文法』なんて方向性が真逆だから、それをいかに組み合わせるかとか。


そもそも、『日本人の英語』は学生時代にとにかく英語を詰め込まれて疑問をスルーしてきた人があとから読むと面白いものであって、英語そのものをスルーしてきた人は落ちる鱗がもとから目に付いてないからありがたみも少ないと思うのです。


19.英語が分からない ←どこが?
続き:英語がわからない←なんで

はてなには定期的に英語学習のトピックがあがるけれど、あれはもうみんなインテリ向けと言うか、なんというか。がんばれる人むけ。ネイティブと話せ?(゚Д゚)ハァ? ここらでひとつスペックが低い人向けに英語学習を書く人が現れてもいいんじゃないかい、と思うしだいであります。

この人が良く分かってるなあと思うのは、どんなに人気がある学習法だとしても自分に合わなければ選んでいないこと。
ところがそうやって除外していくと自分に合う勉強法がなくなっちゃう。


英語が苦手な人がこういうジレンマに嵌っているということを百も承知で万能英語学習法をぶち上げるのか、それとも対象を限定して書くのか、はたまた自分が成功した方法だからみんなも俺に続け!とばかりに英語が苦手な人の存在に気付かずに万能英語学習法を書いちゃうのかで学習法の評価というのはがらっと変わってくると思うのです。


20.英語の文法がほんとわからない

1.何でも感覚で判るレベルに引き上げるか
2.基礎を確実に抑えてからパターンを覚えるか


具体例から抽象化する作業が1の場合必要。
抽象化されたものから具体例を得るのが2のケース
そんな感じがする。(理論を知っていても実践では使えないけど,実践が判っていても理論は説明できないって感じ)

母国語話者は1の方法で、我々が英語を学ぶときは2の方法で言語を習得する、という捉え方が単純化しすぎなのは増田も書いている通り。
増田が書いていないのは、我々は日本にいるので2の方法からスタートするしかないけれども、基礎を確実にするには1の方法が不可欠だということ。
2→1の動きで疑問を作り出して、1→2の動きでその疑問を解決することを繰り返してようやく2が達成されるのです。
その意味では、「基礎を確実に抑えてから」という何気ない言い方そのものに誤解の原因がある気がします。


21.東大レベルまで英語を持っていきたい

結局、イディオムなんてものは、他の学習をしている最中に“自然に”覚えてしまって、最後に足りないところを「へぇ〜」といいながら覚えていくものなのです。

自然に、ではなく“自然に”、というところがミソで、SSS多読方式のように無意識のうちに理解して覚えちゃう、と言っているわけではないのです。
文法書の例文にイディオムが出てくるからそっちで覚えるのであって、「語法」として正面きってゼロから積み上げていくわけではないということです。
ま、だからなんなんだと言われればそれまでですが。


22.社会人のための本気の英語学習法

単語は『DUO 3.0』でいいんだよ、こんなエントリー読んで英語勉強しようとか思ってるやつは。もっとレベル高いことやりたい人はもっとレベルの高いエントリーを読んでくれ。上級者向けの英語学習法って他にもいっぱいあるから。

この態度が清々しい。良いエントリ。

たとえば、以下のようなエントリーがものすごくはてブがいっぱい付いてる。
英語コンプの馬鹿でも投資ゼロでTOEIC900に達するたったひとつの方法
これ読んだ人、すごく多いと思うんだけど、じゃあ結局TOEI900点に達したのか?達してない人が9割、いや98%だと断言しても良い。もちろんオレもここに書いてある方法は間違いなくTOEIC900点に達する方法だと思うんだよ。でもね、続かない。

この増田は続けられる方法を書いていてとてもためになるしこの指摘も正しいんだろうど、ほかの学習法を続かないといっても意味がないです。
読み手が英語学習をするかしないか・続くか続かないか自体は読み手に丸投げで構わないと思う。その学習法が万能を謳っていない限り。
そうしないと“社会人のための本気の英語学習法”を実際何人が続けたんだって指摘も成立しちゃうでしょ。


23.なにをやっても長続きしない奴が4か月でTOEIC700を出す方法

尽きないモチベーションと、あふれるガッツがあるひとは、「中学生レベルの英語力の奴が4ヶ月でTOEIC「Bクラス」を出す方法」を読んでください。
根性はちょっとたりないけど、コツコツやれるひとは、「大学のときTOEIC390点だった社会人が1年でTOEIC「Bクラス」を出す方法 」を読んでください。
読んだけどだめだった、というだめなあなた。
これはあなたのために書かれています。
社会人のための本気の英語学習法」?ああ、ムリムリ。というあなたです。

対象を絞るって本当に重要。そこが分かっているという点でこれも良いエントリ。
基礎は大事だけど完璧を目指さないというのは私も同感です。


24.TOEIC勉強法の落とし穴

定期的にTOEIC勉強法みたいのがホットエントリーになってますが、根本的な問題があるように思う。
大学受験時の偏差値が70あった人から、中学時代の英語すら理解できてない人までいっしょくたに論じてしまう危険があるからだ。

読み手が自分に適した学習法を取捨選択できるなら、いっしょくたに論じようがどうしようが関係ない。
取捨選択できないなら、確かに問題だ。
だから、勉強が得意な人向けの学習法を勉強が苦手な人に押し付けたり、万能を主張したりするのは間違っている。


25.たぶん半年くらいで英語が読める/聞ける、ようになる方法(1)
続き:たぶん半年くらいで英語が読める/聞ける、ようになる方法(2)

個人的な意見ですが、なぜ英語の文章を読めるようになるのか、といえば、つまるところ、それは慣れたから、です。
最初は、日本語のない英語だらけのサイトを見ると、底に足のつかないプールを前にしたような恐怖感に襲われますが、大丈夫です。半年もすれば慣れます。

私もそう思う。
英語が読めるようになっていくときの感覚をうまく表しています。


だけど、やれば慣れるというのは原因と結果の話で、学習法じゃない。
まずやるためにどうしたらいいのか、何をやればいいのかというところを手当てするのが学習法の役割なのではないかと思う。
試しにやってみたらやれちゃいました慣れちゃいました、というのは素敵だけれども、みんながみんなそうなれるわけじゃない。
この書き手がそこを敢えてスルーしてるならいいんだけど、おそらくそもそも失敗する可能性は考えていないんじゃないだろうか、そんな気がする。
もしそうなら、この記事は英語が得意な人が書いたありがちな万能薬、書いた本人は万能だと思っているけど実際は同類にしか効かない方法だろう。


26.初心者の為のサイト作成TIPSは本当に初心者の為?
かなり同感。英語学習法がテーマじゃないけど。

<html><head><body><br></body></head><html>とワケワカランタグが多い。
しかも漸く出来たコレだけの文字羅列を見たところで、到底WWWで見られる美しいデザインとの程遠さに絶望する。

要するに文法書の各項目と、ペーパーバックの内容とのギャップに絶望する感じでしょうか。
優れた英語学習法は、この両者の橋渡しについて言及していなくてはならない。
ただ基礎が大事と繰り返すのでもなく、ただ好きな英文を読めというのでもなく。


「本格的に勉強はしたくないけど興味と意欲をそこそこもっている初心者サイレントマジョリティ層には」という対象の限定がポイント。

これって一から英語の授業を受けるより、アメリカ本国へ何年か住み続けるうちに何となく英語理解するのに似てる気がする。
初心者の為といっていきなりタグ記述テンプレのサイトを見せて学べというのは、実のところ実用的ではない。

『初心者の為といっていきなりロイヤル英文法を勧めて学べというのは、実のところ実用的ではない』と言い換えたら、これはもう立派な英語学習法です。
低レベルでもいいからひとまず何かで達成感を得て、あとは興味のあるところでガチャガチャいじってたら“自然と”できるようになるよ、とでも言おうか。


ただ語学の場合、完璧を目指さないなら読み聴きは自分一人で完結するけど発信能力のほうはそうもいかないのでみんな困ってるんですよね。
英語日記や英語独り言はこの問題を半分だけ解決するけど、フィードバックがないので完全ではないし。
Googleが英文校正サービスを始めるまで待ちましょう。


27.死ぬほど英語を勉強してきたからわかる、英語学習の限界
続き1:英語を死ぬほど勉強してきたからわかる、英語学習のありかた
続き2:死ぬほど英語を勉強してきたこととは別に関係ない、英語との付き合い
英語を勉強している人は、何でもかんでもネイティブを引き合いに出すことがどれだけ無意味か分かっていると思う。
このエントリは3つめのを最初に書いていればそれで終わりだったのでは。


28.http://anond.hatelabo.jp/20100621003251

…それなりに勉強してきたお蔭で最初の掴みの段階で英語圏の人と話して日本人アクセントが強くない調子で話せていると思う。
最初の印象で日本人と思われることはまず無い。


…「あら貴方のアクセントはソフトなのね、日本人じゃないかと思った」
相手にしたら褒めてる積りぽかった。

エピソードvsエピソード。


29.絶対に失敗する英語学習法
続き:日本の英語教育がクソであるその理由

はてなに限らずネット上には、「良い英語の学習法」に関するエントリがたくさんあります。ここらで「悪い英語の学習法」をまとめてみようと思い立って書いてみました。
(1) インプットだけでアウトプットしない
(2) アウトプットをチェックしない
(3) 身の丈に合わないインプットを選ぶ
(4) 普段できないことをやろうとする
(5) 特別な才能のある人を真似しようとする

学習法の取捨選択が大事だよ、という非常にまっとうな話。


あと、

有効なメタファーは「スポーツ」「(アクション系の)ゲーム」「楽器演奏」です。

とあるけど、説明に安易に比喩を使わない方がいいと思います。
自分の考えを何かに例えてうまく説明がつくと、なんだかより一層自分の考えが正しいような感じがしてくるけれども、それはただの気のせいだから。
そして、比喩が適切じゃないと他者の指摘がそこに集中して話が逸れていくから。
比喩なんて使わなくても説明はできるので、まずはちゃんと理屈を書いて、そのうえで比喩が使いたいなら使えばいい。
理屈をさぼって比喩に説明を肩代わりさせると、言いたいことが伝わらなくなってしまいます。


例えばここでは冒頭からアウトプットって言葉が出てきて、最後までそれが何なのかをはっきりさせないまま比喩に引きずられて話が進んでいます。
私は英会話も英作文もやらずにひたすら洋書を読んでるだけだから、この増田の言う“絶対に失敗する英語学習”をしていることになるんだろうけども、「人間がアウトプットの反復練習無しに習熟できる技能なんてこの世にありません」と言われるとなんだか根本から話が噛み合ってない気がしてくるのです。


30.日本人の英語は見るに堪えない、聞くに堪えない
続き:日本人は語学を甘く見すぎ
2つ目のエントリが最初にくればよかった。
「意思疎通ができればいいと言うけど、意思疎通って思ってるほど簡単じゃないし、“英米人”は外国語学習の大変さが分かんないから甘い考えでは英語が本当に使えるようにはならない」、という趣旨。
これが正しいかどうかはさておき、途中で余計な例えを出すからグダグダに。


最初は「日本人の英語は見るに堪えない、聞くに堪えない」と発信側に問題があるように書いていたのに、「今はレベル低いけど上げようと思って頑張って書いてるからレベルが低く見えるだけ」という的確なコメントを受けて、「そんなことはわかってます。しかし赤の他人がそんなことに気づきますか?」と受信側の問題にすりかえた時点で議論終了。

はっきり言って題名は注目を集めるための釣りなので、そこが言いたいことではないんです。

タイトルが内容を表さないと真意が伝わらなくて結局自分が困る、というパターンを前にどこかで見ましたよね。


〜まとめ〜
英語学習法は3層構造になっていて、
A)英語が使えるというのは、いったいどういう能力なのか
B)その能力を身に付けるためには、どのような学習が必要なのか
C)その学習のためには、どのような教材が役に立つのか
というそれぞれの段階に分かれていると思います。


増田式英語学習法に注目が集まるのは、みんなが段階Cのところに注目してとにかくてっとり早く具体的な教材名を知りたい、その教材の羅列をトレースしていくと英語学習の道が浮かび上がるという安心感を手にしたいからです
今すぐは実践しないかもしれないけど、もし英語が必要な時が来たらすぐにこの道を進めばいいという目印として。
例えば、『英語上達完全マップを10ヶ月やってみた』が人気なのも、この軌道をなぞれば英語ができるようになるはずという安心感があるからではないでしょうか。


一方、冒頭で引用した日向氏の

成功している人たちはそういった「いいやり方」を自分に合った組み合わせにして活用しているのです

という意見に戻ると、実際に英語学習途上にいる人はどちらかというと段階Bとか段階Aの方法論そのものに注目していることが多いのです。
その方法がたったひとつでもベスト5でもいいから、自分が今やっている学習をさらに良くする方法を教えてくれと。
このとき、英語学習法は普遍的でも特化していてもなんでもよくて、実践する側の取捨選択に任されますから、タイトルは気にならない。


ただし書き手の立場においては、真意と異なる刺激的なタイトルをつけると必ず誤解が生じます。
分かる人に伝わればそれでいいという思い切りのできない増田が、必ず補足を余儀なくされている様子をここまでたくさん見てきました。


だからたったひとつだけ注意すべきは、万能じゃないことに気付かずにたったひとつのやり方だと主張するのは誤解を招くから止めたほうがいい、ということです。