To Say Nothing of the Dog/Connie Willis

To Say Nothing of the Dog (Oxford Time Travel)

To Say Nothing of the Dog (Oxford Time Travel)

面白さ★★★★★
易しさ★★

大学の研究にタイムマシンが普通に用いられるようになった世界で、“the Bishop's bird stump”なる謎の物体を探すように命じられた主人公ネッド。たび重なるタイムスリップで疲弊した彼は、療養のため19世紀のイギリスへ向かうが、それはさらなる混乱の始まりだった…。


コニー・ウィリスは邦訳で「ドゥームズデイ・ブック」だけ読んだことがあったのですが、本書を読み始めてすぐになんとなく「ドゥームズデイ・ブック」と対になっているところがあるなと感じました。
タイムマシンを使って学術研究する史学科の学生と教授という設定。さらに、「ドゥームズデイ・ブック」がひたすらリアルに暗く暗くいくのに対して、こちらは狙ったかのごとくひたすら適当にボケていく展開。
あとで見たら両者は姉妹編になっているとのことで、やっぱりそうかと合点がいきました。


序盤は主人公自身が状況を把握していないこともあって話が見えず、少し退屈でした。しかし、邦題にもなっている「犬は勘定に入れません」パートが終わったあたりからようやく目的がはっきりしてどんどん面白くなりました。
登場人物はある意味類型的で行動も予測できますが、このストーリーならむしろその類型的なところが魅力的ですらあります。


SF小説のつもりで読んでいましたが、あまりSFという感じではなく、どちらかというと19世紀を舞台に繰り広げられるドタバタ劇を楽しむ本ですね。
ただ、そんな能天気なストーリーを楽しむ本な割には英文がやたらめったら難しかったです。150wpm出てたかどうか。


ドゥームズデイ・ブック」を読んでからというもの、古い言語が出てくるとそれだけでちょっと怖くなるようなトラウマを身に付けたのですが、今回も14世紀の英語が出てくるシーンですぐさまあの疫病の悪夢がよみがえってしまいました。似たような苦手意識がある人は要注意です。