未知語をどうするか

飛ばし読み/推測読み

世間的には、未知語が出てきたら飛ばして読みなさいという「飛ばし読み」と、未知語は推測しなさいという「推測読み」があるようです。
私は正直いってこの2つやり方の違いがよく分からないのですが、こうした方法で英文を読むには次の3つの条件があると思います。

飛ばし読み/推測読みが可能な条件
1 未知語の前後の理解に不安がないくらいには読解力があること
2 英文中の未知語が少ないこと
3 未知語を飛ばして読むのに躊躇しないこと


1 未知語の前後の理解に不安がないくらいには読解力があること
一般的に、推測読みとは未知語が出てきたら辞書を使わずにその意味を推測し、それを習慣づけることでしだいに未知語の意味を推測する力がつきますよ、という方法のようです。
こんな風に「推測を繰り返すうちに未知語に対する推測力がつく」と言われると、未知語そのものを見てその意味を正しく推測できる能力が付くように感じてしまいます。


しかし、未知語が出てきたときはその単語だけを見て意味を推測するのではなく、実際はその前後を見て文脈から意味を判断しています
未知語だけを見て語源や字面などから意味が想像できるのは一部の単語に対してだけです。


そして、英文に慣れていない段階では未知語の前後の文章さえぼんやりと理解している状態なので、こうした文脈を使った判断は容易なことではありません。
前後の文脈を土台として意味を推測していくため、その土台がしっかりとしていなければ意味のある推測は困難だからです。


英語力が不足しているからこそやむを得ず未知語の意味を推測して読むわけですが、そもそも未知語を推測して読むこと自体に、ある程度の英語力が必要となってくるのです。



2 英文中の未知語が少ないこと
未知語の推測は文脈から判断しているため、未知語が多いと文脈が決まらず推測もできません。


文章の型が決まっていたり結論を先に知っているという場合でもない限り、たくさん未知語が含まれた英文を分からない箇所の意味を推測しながら読んでいくのはとても難易度の高いことです。


3 未知語を飛ばして読むことに躊躇しないこと
未知語を推測するには、未知語を飛ばしてひとまず最後まで文章を読む能力が必要です。
英文を読み慣れていない時期に未知語を飛ばして先に進むのは結構難しいです。


なぜなら、文中に未知語が出てくると、そこで読むのが一旦止まります。そもそも未知語より前の部分の理解度もいまいちな状態です。この状態で先に進むのはかなり不安です。なんとかして未知語より後の部分も読んでみますが、たいていはそこもおぼろげな理解です。結果として、その文章がどんな意味なのかさっぱり分からないという現象が起きます。


学習初期はこんな感じの読み方をしていますから、未知語を飛ばして不安なく読むこと自体が難しいのです。
また、英文は前から順に理解しろとも言われるので、未知語の手前の分かる部分だけでとりあえず理解をしようとしてしまうのも原因かもしれません。


文脈から推測するにはとりあえず文の最後まで読まなければならないので、ひとまず未知語を飛ばす思い切りの良さ、さらに飛ばして読んで分からなくても大勢に影響はないと思うことのできる自信が必要になってきます。

推測をするから推測力が身に付くわけじゃない

ここまで見てきたように、いわゆる推測読みを繰り返すことで未知語の意味をどんどん推測できるようになったりはしません。
未知語を気にしないで読む感覚が身に付く効果はあるでしょうが、推測の精度が上がるわけではないからです。
未知語の意味の推測が文脈に依存している以上、勉強により未知語が減り、未知語以外の箇所がはっきりと理解できるようになることで、結果として文脈からの推測がきちんとできるようになるというのが本当のところではないでしょうか。