辞書を引くか引かないか

洋書を読む人には3種類の人がいます。知らない英語表現が出てきたとき辞書を引く人、引かない人、そして引いたり引かなかったりする人です。

SSS方式のおかげか「多読=辞書を引かない」という図式が出来上がっているようにも思います。
しかし、多読といってもいろんな多読がありますし、精読だってどこまで突き詰めるかによって内容が違います。
私の場合、自分では多読をしていると思っていて、辞書は引いたり引かなかったりです。

そもそも重要なのは英文を読むことに挫折しないことです。辞書を引くか引かないかはそのための方法に過ぎません。なのでそこにこだわりすぎるのは違うと考えています。辞書を引かないのがその人に合っているならそれでよし、人それぞれです。

辞書を使うのは悪いこと?

英語力は「知ってるか知らないか」「知ってることがすぐに使えるか」、という視点からみると、英文を読んでいるときに辞書を引くかどうかは次のように置き換えられます。

・辞書を引く…知らない表現を知っている表現に変える
・辞書を引かない…すでに知っている表現の理解に瞬発力をつけることを重視


結局のところ、辞書を引くかどうかというのはリーディング能力のうちどこを強化したいのかというのと同じことです。
辞書を引かないで分からないところを飛ばして読んでいっても、知らないところは知らないままだから英語力がつかないという意見がありますが、これは間違っています。
確かに、調べないと分からないままだという指摘はその通りです。しかし、どんどん読み進めることによってすでに知っている英語表現に対しての瞬発力をつける練習を優先的にしていることになるので、辞書を引かないで読むことにもきちんと意味があるのです。


また、このように考えると、英語の勉強として洋書を読んでいる人にとってどのタイミングで辞書を引けばいいか、どのレベルの本を選べばいいかがはっきりしてきます。
すでに知っている表現が多くてスムーズに読める内容であれば、辞書を引かずに読むのもちゃんと練習になっています。挫折しない範囲で辞書を引くこともできます。
逆に、知っている表現が少ない(=難しい)洋書を読んでいる場合、どうしても読みたい本でもない限り辞書を引かずに読むことは学習効果が低いので、可能なら辞書を引くかあるいは知っている表現がもっと多い(=簡単な)英文を読むほうがおすすめです。