Warm Bodies/Isaac Marion
Warm Bodies (The Warm Bodies Series)
- 作者: Isaac Marion
- 出版社/メーカー: Vintage
- 発売日: 2010/10/14
- メディア: ペーパーバック
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易しさ★★★
映画化もされてる、主人公がゾンビの恋愛もの。
人間がドーム球場に潜んで生活している様子とか、ゾンビの学校・人間の学校をゾンビ目線で語るところとか、一つ一つのエピソードは面白いのです。
ただメインキャラがみなこれといって明確な目的をもって行動しておらず、ストーリーもなく行き当たりばったりなので、読み進めるのが大変でした。
たまに使命感に燃えてAからBに向かってみても、突然閃いて全力でAに戻ってみたり。
それと主人公の心の声が、ゾンビだからかとても抽象的で分かりにくいときがあって、そのへんは娯楽寄りにしてもっと分かりやすくてもよかったのにな、と思わざるを得ません。
話の核心部分についても特に説明があるわけではなく、何となくそういうもんだみたい終わってしまいますので。
なので、思わせぶりな描写とかが実は伏線になっていて後ですっきりというのもありません。
(話の展開というか場面ごとのつながりは、あってないようなもの)
決して面白くないわけではないのですが、ドタバタゾンビギャグみたいのを想像してから読むと全然違うので注意してください。
One Second After/William R. Forstchen
One Second After (John Matherson Novel)
- 作者: William R. Forstchen,Newt Gingrich
- 出版社/メーカー: Forge
- 発売日: 2011/04/26
- メディア: マスマーケット
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易しさ★★★★★
突如として身の回りの電子機器が全て使えなくなってしまったとしたら、、、
同じような文明崩壊物のWardayは、崩壊過程は回想として語られるだけでしたが、この話ではリアルタイムで崩壊していきます。
電気を使う道具が使用不能になると、こんなところにも影響が及ぶのか、というのが次々出てきて飽きずに読めました。
でも日記調なのでちょいちょい時間が飛ぶのと、いざ盛り上がってきたと思ったら章が変わって回想シーンに、というのが面白いというか肩透かしというか。
それとたぶん作者が普段言いたい主張を主人公を通してするもんだから、主人公がキャラ設定無視して結構自己中・自己矛盾・男尊女卑、突然脈絡もなく批判したいものを出してきてバカにしたり、そういうのは気になる人は気になるかもしれません。
いちおうひととおり世紀末っぽさはストーリーの中ですべて網羅しているので娯楽として読む分には十分だと思いました。
The Postman/David Brin
- 作者: David Brin
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 1997/07/03
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易しさ★★★
核戦争後の荒廃したアメリカで、主人公がかましたハッタリがどんどん人々を動かして、、、というストーリー。
途中まではまさにそんな感じで面白く話が進んで行って、中盤でささいな文明の残滓に触れるところなんかはこれぞディストピア物の真骨頂!という場面で一気に盛り上がります。
ところが、そこから急に古臭いSF調に変わっていって、さらにもう一段古臭いSF調に変わって終了という感じでした。
ポストマンどこ行った。
いちおう、途中でよく分からない精神主義みたいのが出てきたのは、最後にそういうことだったのかという説明がされるので良かったんですが。
途中までは間違いなく面白いので読む価値はありますが、終末的なものが目当てだとちょっと物足りないかも。
Day by Day Armageddon/J. L. Bourne
Day by Day Armageddon: Origin to Exile
- 作者: J. L. Bourne
- 出版社/メーカー: Gallery/Permuted Press
- 発売日: 2011/09/27
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これこれ!こういうのを待ってました!
ゾンビ物、主人公視点、日記調、現代文明の今ある形が終わっていく過程、広大なアメリカ本土の放浪、文明の残骸が散らばった荒廃地、生き延びた人間の狂気(極力間接的に描かれるのみ)、変種ゾンビの存在、などなど、読みたい設定が一つに詰まっております。
どうしても日記形式のところに注目が行きがちですが、特筆すべきはストーリーの語りの巧さです。
普通はゾンビ物って主人公がピンチにならないと面白くないのですが、主人公をサバイバル技術に長けた人物にしようとするとなかなか何度もピンチに陥りません。
かといって無理やりストーリーを盛り上げようとしてピンチになる場面を何度も作ってしまうと、「そもそもなんでそんな危険なとこに行くんだよ、おとなしくしとけよ」と思いはじめてしまい、バカな主人公に感情移入できなくなってしまいます(ドラマシリーズのウォーキングデッドがこのパターン)。
この意味で、本作では他人を助けなきゃいけない状況が納得のいく形で語られるので、主人公ピンチ⇒安全地帯確保、という黄金基本パターンが何度も味わえるのです。
また、世界終末ものは荒廃した世界の様子をいかに描写するかが肝ですが、凡百の作品だと描写したい設定はたくさんあってもその提示の仕方がへたくそで、設定を書くためにストーリーを作るみたいなところがあったり、逆にせっかくの設定を描ききれず消化不良になったりしがちです。
この点においても、本作では手に汗握るストーリーを語りつつ荒廃した元アメリカ合衆国の様子も十分に描くという離れ業をやってのけています。
女性キャラの扱いがひどいとかいろいろ批判もあるでしょうが、グーグルマップで地名を追いながら読むと非常に味わい深い作品です。
なお、このシリーズは1.Day by Day Armageddon、2.Beyond Exile、3.Shattered Hourglass、の3部構成となっています。
作者が日記形式に限界を感じたのか3作目だけ3人称視点で描かれており、3作目の評価だけかなり低いです。
また、1作目&2作目のみをセットにしたお得な「Origin to Exile」が発売されています。
私はこれを買ったので2作目までしか読んでおりません。
1作目で主人公ピンチ⇒安全地帯確保を存分に堪能。2作目は主人公達がやらかしていきなりピンチになるところから始まり、話が壮大になっていくところで終わります。
Newsflesh trilogy/Mira Grant(Seanan McGuire)
1.Feed
- 作者: Mira Grant
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2010/04/01
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シリーズ3作すべてヒューゴー賞ノミネート、しかもゾンビ物、それもただのゾンビ物ではなく設定がひねってあるらしい、ということで期待して読みました。
いざ読んでみるとまず、ほとんどゾンビが出てきません。出てきても全然怖くない。設定としてゾンビの存在が当たり前の世界ということになっているのでそんなもんなのかもしれませんが、なんだか肩透かしを食らった気分。というか期待してたゾンビってこれじゃない!登場人物達もゾンビを怖がるのではなく、ゾンビウイルスを超怖がっている感じです。
そして、政治とブログ(既存のメディアの権威は地に落ちていて、代わりにブロガーが力を持っているという設定)という新機軸のところに関しては、特段面白いわけでもなくいまいち説得力がないせいもあって話そのものを邪魔しています。
さらにキャラクター設定について非常に難があります。みな紋切り型で、金持ち設定といえばこれ、神経質設定といえばこれ、○○に長けている設定といえばこれ、というパターンの一点張りです。そしてみな常に気の利いた(つもりの)セリフを混ぜないと会話一つできない有様。
この小説はジュブナイルものなんだと割り切って読むのが正しかったのです。
さて、この小説は何と言っても あ の シーン抜きには語れないと思います。
あのシーンが非常に良かったので、数多のマイナスを打ち消して星3つとしています。
2.Deadline
Deadline (The Newsflesh Trilogy)
- 作者: Mira Grant
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2011/05/01
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2作目になるともはやゾンビなんて出てきません。やっと出てきたと思ったら養蜂場の蜂みたいに人間が道具としてゾンビを活用。スイッチを押すとゾンビが出てくるというステキなことになっています。比喩ではなく本当に文字通りスイッチを押すとゾンビが出てくるのです。
ストーリーとしては前作の衝撃シーンにもう一ひねり、のところはOK。ただ、最後にさらにもう一ひねりしようとして盛大に失敗。
あとは会話の一つ一つ、設定の一つ一つ、設定の見せ方一つ一つがどれも見事に陳腐。とにかく陳腐。これにつきます。
むしろ陳腐な場面の見せ方を体験するために読むことをお勧めするくらい陳腐。
例えば主人公チームにとんだ来客があって、この来客が何か(この世界的には非常識だが読者には普通に思えること)を言うと、話を聞いている主人公たちの作業がピタッと止まる(本当に文字通りキーボードを打つ手とかがピタッと止まる。そして後ろのサブキャラとかがゆっくりと振り向いて信じられない物を見る目つきで来客を睨む)。来客「(何か変なことを言った?)」と戸惑う。主人公「○○は□□だからダメに決まってる!当たり前でしょうが!」。来客「でも、△△だと思ったから・・・」(以下ループ)、という表現方法で、「読者には普通に思えるがこの世界的には非常識なこと=世界観」を紹介してくれるのです。そして世界観の表現方法はこれしかありません。途中で出てくる“はぐれ科学者軍団”とのやりとりも清々しいくらいに上記の陳腐な場面だけで進んでいきます。
3.Blackout
Blackout (The Newsflesh Trilogy)
- 作者: Mira Grant
- 出版社/メーカー: Orbit
- 発売日: 2012/06/01
- メディア: マスマーケット
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特に何ということもなく、前作同様の陳腐なやり取りを経て話がまとまっていきます。
誰かさんの設定に関して一つだけ驚きがあって、シリーズ3作分引っ張ってきた溜めもあるのでこれはこれでいいのですが、ストーリーで驚かすのではなくあくまで設定で驚かしただけにとどまります。
この作者はストーリーに関しては0点、設定を作ることは大好きですが設定そのものが陳腐なうえに設定を読者へ見せる見せ方がへたくそで0点、主人公達の気の利いた(つもりの)軽妙な(つもりの)やりとりも0点、何も良いことはありません。なぜに大手の賞に3部作が3部ともノミネートされたのか、まったく謎です。アマゾンの★4つ5つの評価とかもまったくもって謎です。
Spin/Robert Charles Wilson
- 作者: Robert Charles Wilson
- 出版社/メーカー: Tor Science Fiction
- 発売日: 2006/02/01
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英語★★★
これぞSFという作品です。まず設定がすごいし(始まりこそ映画版首都消失のノリですが)、それをちゃんと使って面白いストーリーにしているし、とにかく次がどうなっちゃうんだろうと気になって、どんどん読み進んでしまいます。
あとは現在パートがもっと面白ければなあ、という感じはしますが、全体の4分の3くらいまでが完璧なので、最後の4分の1が慌てて収束してしまっても問題なしでした。
いまだに双子兄のセリフ“We are △△ing ○○○○.”を目にした時の衝撃とワクワク感、これぞSFという感じが忘れられません!
Old Man's War Series/John Scalzi
1.Old Man's War
- 作者: John Scalzi
- 出版社/メーカー: Tor Science Fiction
- 発売日: 2007/01/01
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事前にこのシリーズのレビューを見ると何かすごい高い評価も見られたので、いったいどんな話かという興味を持って読みました。
が、読んでみると特別目新しい設定があるわけではなく、単純に話としてそこそこ面白いというものでした。
1作目は世界観の説明に時間をかけており、結果的にシリーズの導入編というかお試し篇のようになっています。主人公が新世界になじんで以降ストーリー的に何かすごい進展があるかというと、そうでもありません。
中盤までのチュートリアル部分が一番SF的で面白いという作品ですので、ここで面白さを感じられない場合は次作以降にあまり期待しない方がいいと思います。
2.The Ghost Brigades
The Ghost Brigades (Old Man's War)
- 作者: John Scalzi
- 出版社/メーカー: Tor Science Fiction
- 発売日: 2007/05/01
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2作目の序盤は面白い始まり方をします。
前作を読んだ限りではひょっとしたらこのシリーズはいまいちなんじゃないか・・・と危惧しましたが、持ち直しました。
で、それなりにどんどん進んで行って、最後まで飽きずに読めました。
他人に敢えておすすめするかというとそこまででもありませんが、普通には面白いと思います。
あとは、このシリーズの世界観がただのありがちなSFとは違うんだよというところが作中で少し触れられています。もっとも私はありがちなSFを語れるほどSFを読んでいるわけではないのですが、人類が宇宙植民に乗り出して、異種文明と交戦して、というだけの単純なものではなさそうな気配が語られます。
3.The Last Colony
The Last Colony (Old Man's War)
- 作者: John Scalzi
- 出版社/メーカー: Tor Science Fiction
- 発売日: 2008/07/01
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シリーズを通じて話がしっかりしているので、展開のまずさとか余計なところでイライラしなくて良いというのはいいですね。
あとは前作でほのめかされていた陰謀のあたりが明かされていき、話が壮大になっていきます(そんなにグッとくる設定ではないんですが)。
問題は、窮地に立たされた後のアッと驚く解決策のところです。SF作品に限りませんが特にSF作品にはこのアッと驚く解決策を期待して読んでいます。なので今回はこの解決策がそうでもなかったということで、星3つとしました。
このシリーズはまだ続きがあるのですが、私はお腹いっぱいになったのでここで終了します。