“英語を英語のまま理解しないとだめ”説

『英語を英語のまま理解しなさい』、とよく言います。
このフレーズは、受験勉強のように訳読しないで読みなさいよ、という程度の意味合いで使われている分には無害です。
しかし、時として「英文を読むときは一切日本語を介さずに理解すべき」という意味でも使われています。
ここに大きな問題があります。

“英語で理解しようとすると英語で理解できるようになる”のか?

最終的には“英語で理解できる”のを目標にするとしても、そのために“英語で理解する”よう努力するというのは違います。
英文に慣れないうちは、どうしたって読むたびについつい日本語を経由して英文を理解しようとしてしまうからです。
これは仕方がないことです。
いずれ英文をたくさん読んで慣れていくことによって自然と“英文で理解できる”ようになるので、そんな大した話じゃないのです。


そもそも、英語に慣れていない人に「日本語を介さないで英語のまま理解しましょう」というのは、正直何のアドバイスにもなっていません。
どうせ言うなら、「日本語を介さなくても理解できるくらい簡単な英文から読みましょう」とでもいうべきです。
もしくはどうしても今すぐ難しい英文を読まなければならないならば、「日本語を介してもいいからまずは目の前の英文をきちんと理解して、いつかは日本語の助けを借りなくても意味が理解できるようにたくさん英文を読みましょう」と言うべきなのです。
にもかかわらず、英語ができる人というのはみんな「英語を英語のまま理解している」のだからあなたも今からそうしなさい、というのはあまりにも乱暴です。
もはや、気を感じろ、とか、心の目でとらえろ、くらいの精神論なので無視してもいいくらいです。

結論

英文を日本語に変換しないとなんとなくしっくりこないのは、自分がまだその英文のかたちに慣れていないからです。
最初は日本語を介してもいいし英文を目にしてから理解するまで時間がかかってもいいのです。
疑問がなくなるまで完全に理解した英文をたくさん読めば、自然と「英語のまま」理解できるようになります。