Blood Memory/Greg Iles

Blood Memory

Blood Memory

面白さ★★★
易しさ★★★


ニューオーリンズで進行中の連続殺人事件、主人公の壊れっぱなしの人生、父の死の真相、中州の島に隠された秘密、いかにも怪しげな精神科医、これら一連の出来事が作者と主人公的には必然的に、読者的にはとってつけたように一つの物語になっていきます。

これぞ典型的Greg Ilesといえる場面は、なんといっても主人公CatがFBI監視のもと被疑者と直接対決するシーンでしょう。
ストーリーがまったく進展しないなか、傲慢なインテリが偏った真理を思わせ振りに語る長口上、可能性と仮説の応酬。
毎回そうですが、この手の場面を飛ばして読んじゃっても何の問題もないところが困ったところです。
要するに話が長い。

もちろん、お約束の「What if…, then…. One possibility is that…, but my guess is ….」という机上の空論も健在です。


謎をばら撒くだけばら撒いて読者にあれこれ考えさせるストーリーですが、最後にはひととおり伏線を回収しているので不満はありません。
しかし、これまた毎度のことですがその伏線の回収の仕方が駆け足で、あわてて解決していきます。この辺が、余韻のなさに繋がっているのだと思います。