True Evil/Greg Iles

True Evil: A Novel

True Evil: A Novel

面白さ★★
易しさ★★★★

夫に殺されたと言いながら亡くなった妹のかたきを討つため、主人公のFBI捜査官アレックスが恐るべき陰謀を暴く戦いに立ち上がった。たった一人で…。


なんとも展開の遅い話で、最初の3分の1は得意の仮説大会です。次の犠牲者候補になってしまった医師をなんとか説得して味方に引き入れようとするアレックスですが、この医師が陰謀説を信じたと思ったらすぐ考え直すの繰り返し。何度も追い返され嫌な顔をされ、それでも食らいついて話を聞いてもらおうとする主人公、もうあとは本当に陰謀が存在するという動かぬ証拠をこの頑固な医師に突き付けるしかない追い詰められた状況でアレックスがこう言います。

「もし私の考えが正しければ、二つの可能性があるわ。一つ目は…」

もう仮説はいいよー。ほんとにさー。話を進めようよ、ちゃんと。
しかもそれを黙って聞いてやる医師。でも結局何もしない医師。もはやストーリーが破綻してます。
所々入るアメリカ論とか、全体的にダメなGRっぽい薄い展開とか、肝心の最後の対決もひどいの一言に尽きます。
敵の描写もお粗末で、連続殺人犯が森の中で相棒の悪徳弁護士を待つシーンとか振る舞い方が酔っ払いの武勇伝レベルです。鹿倒して食ってんですよ?冷静な顔して。

今回はDead Sleepからあの人が登場、さらにTurning Angelの登場人物も何人かチョイ役で出てきました。それぞれの話の後日談が何行かだけ書いてあるので、もし本作と両方読むつもりならこっちは後回しにしたほうが少しだけ幸せかもしれません。