The Chatham School Affair/Thomas H. Cook

The Chatham School Affair: A Novel

The Chatham School Affair: A Novel

面白さ★★★
易しさ★★★

どんでん返しを楽しむ本ではなく、情景を味わう本でした。
回想シーンと現在とを交互にした構成や、ダークサイドに引き込まれていく登場人物たちはいつも通りです。

最終的に何が起きたんだ、というところが核になりますが、今回はちょっと不発気味。なんだかんだいってやたらと主人公に対して無防備な大人たちにも疑問があるし、校長の息子であるとはいえ学校が舞台なのに友達のいない主人公にも違和感があるし。
また、いつもならミスリーディングを誘うred herringに見える箇所が、実際はそのままだったりして逆に騙されたみたいな感じです。構えて読みすぎというか深読みしすぎ?

このストーリーの中に何か成長があったり救いがあったりするわけでは必ずしもないと思いますが、悲劇とは果たしてささいな事がきっかけで起きるものなのか、また過程はどうあれ結局は避けられないものなのか、という問いかけそのものの物語として面白かったです。