Apollo/Charles Murray and Catherine Bly Cox

Apollo

Apollo

面白さ★★★★★
易しさ★★
USアマゾン版


アポロ計画を陰で支えた裏方達の物語です。
とにかく膨大な量のインタビューを基に描かれており、笑える話から深刻な話までさまざまなエピソードを積み重ねることでアポロの歴史を再現しています。並の本なら誰がいつ何を決めたという事実を羅列した教科書みたいになるところですが、本書は当事者達の生々しい証言を繋いでいるおかげで目の前にいる生きた人間の話として読むことができます。


前半はNACA結成からアポロ1号までで、NASAという組織がどのようにできていったかと技術的な苦労話が中心です。このため管理職というかお偉いさんの話が多く、私のような素人にとっては、いままで名前しか知らなかった人が具体的にどんなことをした人なのかが分かりやすく書かれていました。そりゃあまあ名作といわれるだけのことはありますね。

後半はアポロ13号までの地上管制室の話です。この辺り地上管制官達の自伝と内容が重なるかもと思っていましたが、いい意味で裏切られました。もともと世間的には地味なところに注目しているのに、さらに地味な影のヒーローについて語られていきます。最高です。


題材となっている時期はNACA以前からですが、マーキュリー・ジェミニについては背景としてのみの記述でした。それでもあとがきにあるように紙面の都合で惜しいエピソードを泣く泣くカットしまくったらしいので、内容の濃さは折り紙つきです。