Word of Honor/Nelson Demille
- 作者: Nelson DeMille
- 出版社/メーカー: Grand Central Publishing
- 発売日: 1987/03/01
- メディア: マスマーケット
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易しさ★★★
かつてベトナム戦争に従軍した主人公は今は民間人となっていたが、過去の忌まわしい虐殺事件の責任を問われることとなった。軍法会議の場で…。
これはまずキャラ勝ちです。デミル得意の“女にモテるふざけた中年”が主人公で、まじめな顔して軽口叩きながらもその裏で(おそらく)冷静に計算してます。これが面白い。
彼が自暴自棄になったりいきなり訳分かんないことやり始めると読んでるこっちはびっくりするのですが、ちょっとしてからそれが理に適っていることが明らかにされたりして、否が応でも主人公を応援してしまうのです。
また家族や事情を理解している軍のお偉いさんも、一見滅茶苦茶な主人公の行動を諭すべくそのバカに付き合ってくれたりするので、単なる重苦しい話では終わりません。最後までふてぶてしく、相手のルールには従ってやるが全部譲るつもりはないという絶妙なラインを行ったり来たりするのです。このバランスは最高です。
過去の虐殺事件の様子は所々挿入される回想シーンで少しずつ明らかになっていきます。主人公があの場所でどういう行動をとったのかが分からないまま読み進めていくことになるので、ストーリーの先が読めないのもよかったです。
軍事・裁判絡みの単語が多いのと軍法会議の段取りにいまいち馴染みがないのでその分英語は難しめ。でも文章自体はとっつきやすい方だと思います。