Failure Is Not an Option/Gene Kranz

Failure is not an Option: Mission Control From Mercury to Apollo 13 and (Thorndike Paperback Bestsellers)

Failure is not an Option: Mission Control From Mercury to Apollo 13 and (Thorndike Paperback Bestsellers)

面白さ★★★★★
易しさ★★

アポロ13のエド・ハリスでおなじみ、ジーン・クランツの自伝です。
そもそも映画の台詞「Failure Is Not an Option」はあくまでも映画用の創作で本人はこんなこと言ってないらしいです。それでも本人がいたく気に入ってタイトルにしたとのことです。(ウィキペディアより)

マーキュリーからスペースシャトル時代まで、地上管制室から見た宇宙開発の様子が順を追って描かれており、面白い逸話が次々に出てくる内容になっています。

地上管制なんてそもそも地味な存在で、まして打ち上げ前の準備やら特訓やら裏方の仕事もいいところですが、そのあたりエピソードの選び方が良いのかそれとも構成の上手さか、当時の様子が生き生きと再現されています。
打ち上げ前までの緊張感ももちろんですが、ミッション中はさまざまなトラブルの対応に追われ、しかも決断する時間は一瞬でなければならないときも往々にしてあるという重要な仕事です。それだけに、地上にいる一人一人が全力(あるいはそれ以上)を発揮してさらにチームとしても完璧な協調が求められる状況で、そのチーム作り・管理・危機対応という普遍的なテーマに当時のNASAがどういう手法で臨んだか、という記録でもあります。

英語は自伝なのとテーマがテーマなので普通の小説よりはちょっと難しめ。あと人名が容赦なく出てきますが、これまた興味ある人しか読まないと思うのでたぶん大丈夫です。

本人の肉声はPBSNOVA Online/To the Moonにて聞くことができます。


また、アポロ13のパロディとして、クランツ家で感謝祭の日にトラブルが起きたらどうなるかという動画まであります。
Thanksgiving With the Kranzes

アポロ13でフレッド・ヘイズ役を演じた俳優さん経由でこの映像がジーン・クランツの手に渡ったようで、本人はこの映像に物申したらしい。
というのも、彼の家族が機会を見つけては度々この動画をジーン・クランツと一緒に見たがるので困っているとのことです。