Hornet Flight/Ken Follett

Hornet Flight

Hornet Flight

面白さ★★★
易しさ★★★★

デンマーク支配下に置いたナチ・ドイツは、この地に第三帝国の重要な軍事機密を隠しているらしい。窮地に立たされた連合軍の命運は、占領下に暮らす一人の少年にかかっていた…。


Night over Water』のときもそうでしたが、少年少女が主人公になると途端に話も文字通りジュブナイルものになるようで、どことなく甘ったるいような常に何か不満の対象があるような描写が続いて少しお腹いっぱいになります。
この手の追跡ものはある意味展開の大枠が決まっていて詳細勝負みたいなところがあるので、父との反発とか同年代の異性への淡い恋心とかそういうのが来てもあんまりうれしくないと思ってしまいました。

一方、追う側の刑事はものすごく冷酷ですがその怒りはよく理解できます。壊れているのにとても人間臭いし悲しいが読んでて共感はできない、こういうキャラクターこそむしろ犯人(逃げる役)にして書いてくれたら絶対読みます。

単なるスパイの話ではなく登場人物それぞれに特殊な事情があって運命のように行動が交錯していくストーリーがきれいです。せめて兄貴の彼女がベテラン諜報員だったら知的な騙し合いが見られたのですが、この話はアマチュアが力を合わせてがんばるぞ、という感じですので。