Eye of the Needle/Ken Follett

EYE OF THE NEEDLE

EYE OF THE NEEDLE

面白さ★★★★
易しさ★★★★

敵国内で同化し、命令によって長い眠りから覚めたようにスイッチが入って活動を開始するスパイの逃亡/追跡劇。


第二次大戦ものは、ドイツ視点だと後半いいところまで有利にきて最後の最後に失敗しちゃう、イギリス・アメリカ視点だとその逆、というのが定番です。
ストーリー上、悪役は任務遂行のためなら殺しも辞さないプロ、追う側はすんでのところで取り逃がす、この辺の「ジャッカルの日」的流れはもはやお約束であり様式です。したがって単なる予定調和にならないようにするなら、プロらしさやぎりぎりの駆け引きがもっともらしくないと何のための娯楽小説かということになってしまいます。

本書はそのプロらしく見せるシーンがよくできていて、私みたいなドイツ兵器ファンもそうでない人もこのスパイを応援してしまうこと間違いなしです。
また、ぎりぎりのところで追っ手と入れ違いになるドキドキな見せ場もこじつけがないので白けることはありませんでした。

ありがちな平凡作品だと逃げる側の優秀さと追う側の優秀さを両立して描くことができず、なんとなく偶然の要素を入れてごまかしたりするものですが、ここではそんな心配はありません。

いや、そんな鬼神なスパイがうまいこと英国内部に潜伏できてんなら、開戦前にチャーチル暗殺でもさせろよ!と思わなくもないですが。


※映画化されてるの知りませんでした。後半の例の闘いにスポットライトを当てているらしいです。
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