A Maiden's Grave/Jeffery Deaver

A Maiden's Grave

A Maiden's Grave

面白さ★★★★
易しさ★★★★


聾学校の先生と生徒を人質にとって立て篭もる凶悪犯と、人質交渉人(主人公)との息詰まる駆け引きを描いた作品です。


この話の良くできているところは、なんといっても主人公の交渉技術の巧さがきちんと分かるような描写でしょう。

人質を解放させるためには基本的に"言葉"のみを武器に頑張っていくわけですが、作中ではこの交渉人の発する言葉一つ一つにちゃんと目的があるということが説明されていて、"すごい奴"なんだなってのがうまいこと伝わってきます。


ダメなパターンだと、こういう"才能のある人"設定になっている登場人物がその才能を発揮する場面でいまいちウソ臭かったりして、そっから話がグダグダになるものです。
これがJeffery Deaverの場合、その辺を読者にわかりやすく、それでいてわざとらしくなく見せるのがうまい!

例えば主人公は交渉中にたまに攻撃的だったり挑発するようなことを言うんですが、それもきちんと駆け引きの技の一部になっており、読めば自然と主人公に感情移入していけます。
同じ都合のいいストーリーでも、主人公視点に違和感がなければすんなり読めるということでしょう。


英語はというと割り合い分かりやすい方です。ストーリー的に話し言葉が多めなんで、そういうのに慣れてからのほうが良いかもしれません。