メモ

■汚染水
4/3福島第1原発:4号機タービン建屋地下に汚染水を一時貯蔵毎日新聞

経済産業省原子力安全・保安院は3日、東京電力福島第1原発4号機のタービン建屋地下部分を、同1〜3号機のタービン建屋で見つかった汚染水の貯蔵場所確保のため、一時的に水のタンクとして利用することを明らかにした。4号機の地下1、2階部分が水没し、今後の復旧作業への支障が懸念されるが、保安院は「(水の貯蔵場所の確保を)優先せざるを得ない」との認識を示した。


汚染水は「復水器」に入れる計画だが、復水器の容量を確保するために、器内の水を「復水貯蔵タンク」「サージタンク」「集中環境施設」などに移す「玉突き」作業が進んでいる。東電は2日、さらに汚染水を処理する集中環境施設から約1万1000トンの水を4号機タービン建屋地下1、2階(容量約3万トン)に移す作業を始めた。


4/2福島第1原発:汚染水 移動の「玉突き作戦」が進行毎日新聞

しかし、タービン建屋脇のトレンチ(立て坑)などにたまっているものを含めると、汚染水は数万トンと予想され、タンクだけでは収容しきれない可能性がある。そこで、集中環境施設の建屋をタンクにする計画が持ち上がった。


集中環境施設は本来、1〜4号機から出た放射性物質を含む水を処理する施設。地下だけで約5万4000トンの水をためることができる。汚染水の貯水先として候補になっている建屋は、汚染水を蒸気にし、放射性物質を分離して取り除いたり、フィルターを通すことで放射性物質を除去する設備を持つが、津波で被災した。水の放射線量は微量という。


同施設内の水は、鋼鉄製で内部に約1万トンのタンクを持つメガフロートに移すことを考えているという。他に同施設内の水の移送先として、原子炉への真水注入のため同原発専用港に到着した米軍のバージ船(はしけ)も候補に挙がっている。


4/1汚染水、メガフロートに貯水案 福島第一原発朝日新聞

菅政権は福島第一原子力発電所の事故対応で、タービン建屋の地下などにたまった汚染水を一時貯蔵して放射性物質を取り除く処理をするため、新たなタンクを敷地内に建設する方針を固めた。
日米両政府の高官や専門家らの協議会で確認し、準備を進めている。1〜4号機にたまった約2万トンの水を一時貯水、化学反応を利用して浄化し、原子炉に戻すという。放射性物質を取り除く技術を持つフランスの原子力大手「アレバ」に技術協力を求める。


3/29汚染水移し替え着手…3号機では「玉突き排水」‐読売新聞
3/29空きタンク総動員で排水作業…2・3号機‐読売新聞
3/29タンクに次々移し替え…汚染水除去、綱渡りの作業朝日新聞
3/29たまり水約20時間で出現 福島第一原発3号機で東電福島民報

東京電力福島第一原発事故で、3号機のタービン建屋地下で作業員を被ばくさせた高濃度の放射性物質を含む水は、被ばく前日の夕方から当日の昼にかけてたまっていたことが28日、分かった。漏水の原因究明の手掛かりになるとみられる。
東電によると、3号機タービン建屋地下では、23日午後5時まで電力の復旧作業が行われたが水は確認されなかった。24日昼ごろ、作業員が同じ場所に入ると、15センチほどの水がたまっており約20時間の間に水が出たことになる。その後、水量は増えておらず一時的な要因で漏水が起きたもようだ。




■復旧作業
4/3新聞紙、おがくず投入も高濃度の汚染水流出止まらず−福島第一原発ブルームバーグ

一方、1−3号機の原子炉を冷却する仮設ポンプの電源が3日、仮設ディーゼル発電から外部電源に切り替わった。保安院の西山氏は「燃料の取り換えや発電機のメンテナンスの必要性を考えると、格段に安定した電力を提供できる」と述べた。さらに、安定した冷却を実現するため、今後は仮設ポンプを残留熱除去系ポンプに切り替え、冷却水を循環できるようにする方針。


4/11〜4号機で熱交換冷却復旧へ 循環ポンプはめど立たず“半歩前進”‐産経ニュース

東京電力福島第1原子力発電所事故で、原子炉の冷却システムの復旧が徐々に進み始めた。原子炉を循環する水を外側から冷やす熱交換冷却装置に海水を送り込む仮設ポンプの設置が1日、1〜4号機で完了。2日には1〜3号機の原子炉に注水している仮設ポンプの電源を非常用から外部電源に切り替える。ただ、肝心の注入した水を循環させるシステムは、汚染水に阻まれ、復旧のめどは立っておらず、“半歩前進”が実情だ。


原子炉を100度以下の「冷温停止」状態にするには、「残留熱除去システム」の復旧が不可欠。燃料棒の熱で高温になった水を海からくみ上げた海水で外部から冷やす仕組みで、熱を海に捨てる「巨大なラジエーター」だ。


…(中略)…もっとも、原子炉に注水した水を循環させないと、熱交換装置も役に立たない。循環ポンプは原子炉建屋内にあり、「きちんと動くかどうかも確認できていない」(経済産業省原子力安全・保安院)。
復旧には、まずタービン建屋地下の配電盤に外部電源をつなぐ必要があるが、高濃度の放射能を帯びた汚染水に阻まれ、作業は事実上中断している。


4/1福島第一2・3号機、冷却機能の一部復旧にめど‐読売新聞

福島第一原子力発電所の2、3号機で、原子炉の熱を取り除く本格的な冷却システムの一部が復旧するめどがたった。
東京電力が1日、明らかにした。
炉心から出る高温の水を、外部から引き込んだ冷たい海水で冷やす熱交換システムで、海水を送り込む部分に仮設ポンプの設置を完了した。近く外部電源につなげて起動を試みる。復旧に成功すれば、代替手段として行っている炉心への注水を減らせて、高濃度の汚染水の外部への漏れも最小限にとどめられる。




■原子炉
4/14溶融燃料「粒子状、冷えて蓄積」1〜3号機分析‐読売新聞

3基は核燃料の一部溶融が指摘されているが、専門委は「溶融した燃料は細かい粒子状になり、圧力容器の下部にたまって冷えている」との見解を示した。


…それによると、圧力容器内の燃料棒は、3号機では冷却水で冠水しているが、1、2号機は一部が露出している。1〜3号機の燃料棒はいずれも損傷し、一部が溶け落ちている。溶融した核燃料は、冷却水と接触して数ミリ以下の細かい粒子に崩れ、燃料棒の支持板や圧力容器下部に冷えて積もっていると推定している。これは、圧力容器下部の水温が低いこととも合致している。沢田隆・原子力学会副会長は「外部に出た汚染水にも、粒子状の溶融燃料が混じっていると思われる」と説明した。


4/7窒素注入は米NRCの助言、水素爆発再発を警告‐読売新聞

NRCのチームが先月26日付でまとめた報告書は、1〜3号機について、核燃料の一部が溶け、圧力容器の底にたまっていると分析。海水中の塩分が析出して燃料を覆い、冷却を妨げていると指摘した。特に、圧力容器内の温度が高い1号機で、塩の量が多いと懸念を表明している。2、3号機は、注水しても圧力容器の水位が上がらず、一部が壊れている可能性を示唆した。


4/51号機なお200度以上 2号機水漏れ 原子炉冷却難航朝日新聞

東京電力では「1号機だけが高温の理由はよくわからない。3号機は温度も下がっているが、圧力容器の圧力も大気圧とほぼ同じまで下がっている。炉内の蒸気が外に漏れている可能性も否定できない」という。
2、3号機は圧力容器につながる配管などが壊れて外部とつながり、圧力の逃げ場が生じている可能性がある。これが結果として、水の注入を促し、温度を下げているとの見方もある。あふれた水は敷地外に漏れている。特に格納容器が破損した2号機からは高濃度の放射能汚染水が出ていると見られている。


一方で1号機は、圧力容器内の圧力が5日午前6時現在で3〜6気圧という値を示しており、一定程度密閉性が保たれているようだ。
1号機の圧力容器内の温度を下げるためには、注水して燃料を水で冷やすほかない。しかし、高温の状態の中に水を入れると、熱で蒸気が発生して内部の圧力を高めてしまう。実際に3月23日に水の量を毎時2トンから18トンに増やしたところ圧力が高まった。水素や水蒸気爆発につながる恐れもあるため、現在6トンまで水を減らしている。
圧力容器の底部の温度は115度と上部が200度を超えているのと比べると低い。注入している水が下部から入っているためで、上部は燃料が露出して破損し温度が高いとみられる。


3/29管理区域外に大量の汚染水発見、処理は無理?‐Astand

圧力容器(の容積)は300立米くらいです。今、毎分280リットルくらいの水を入れていると、1日で300立米くらい以上になってしまいます。(その水がどうなっているか)まず一つは蒸発分があります。入れている部分の半分くらいは蒸発していると見込んでいます。なら、あと半分だと、2日で一杯になってしまうんじゃないかということになります。(蒸発しなかった水は)やはり格納容器側に少なからず行っていると思います。ですから、格納容器と一緒に水位を上げていくイメージです。格納容器(2、3、4号機の格納容器のてっぺんまでの容量)は3700立米くらいあります。ですので、半分と見込んでも、1900立米くらいあるわけです。あとは、サンプリングの結果から、いくらか外に(水が)出ている部分があって、そこらへんをもう少し見極めなければならないと思っています。きょう、ポンプを変えて、いくらか流量の調節ができるようになっています。流量を絞ったりしてどの程度で水位が平衡するかを調べれば、どのくらい気化していて、どのくらい入っていなければならないのに出ていってるのか、もしかしたらイメージがわいてくるかもしれないということで、数日かけて、なるべく流量を絞りたいですし、何か分かってきたらお知らせしたい。


3/281・3号機、注水ポンプ交換へ=圧力容器破損の恐れも−福島第1原発・東電時事通信

注水作業では、2号機の圧力容器から水が外部に漏れていると想定。漏れる量を減らすため、圧力容器に注入する真水の量を半分に減らした。注入水と圧力容器内で蒸気になる量のバランスが取れるようにし、できるだけ少ない量で原子炉の安定状態を維持する方針。1、3号機の原子炉への注水も同様に減らす。


3/25原発安定「最低1カ月」朝日新聞

冷温停止には、炉内に水を循環させるポンプと、その熱を海水で冷やすポンプの2系統が動く必要がある。だが、1、3号機のポンプは壊れている可能性が高い。このため冷却水を循環させられず、仮設ポンプでの注水が数カ月続く可能性がある。この間、放射性物質は出続けることになる。


関係者によると、ポンプは大型なほど精密な制御が求められる上、ポンプそのものも同時に冷やせなければならない。炉心への配管には多くの弁もある。センサーの作動で炉内の様子がわかっても、「実際に冷却系を正常に動かすのは、注水より格段に難しい」と指摘する。




■使用済み核燃料貯蔵プール
4/13使用済み核燃料の搬出、東電検討 高い放射線量が壁朝日新聞

現場の放射線量は現在も高く、東電幹部は「今は放射線量が高くて無理だ」とし、経済産業省原子力安全・保安院関係者も「作業員の安全性を確保できるほどの線量に下がらないと出来ない」と指摘した。東電内では「この作業には数年間かかる」との見方が出ている。


4/13使用済み核燃料取り出し、外部クレーンなど検討‐読売新聞

東京電力は13日の記者会見で、福島第一原子力発電所1〜4号機の使用済み核燃料一時貯蔵プールから核燃料を取り出して安全な場所に移す方法について、複数の手段を検討していることを明らかにした。


1〜4号機は2号機を除き、建屋上部の損傷が激しい。特にプールには放射性物質を封じ込める原子炉格納容器のような施設がないため、早急に核燃料を取り出す必要があるが、核燃料交換用の天井クレーンなどが大破して核燃料を取り出せない状態が続いている。
このため東電では〈1〉外部からクレーンを横付けし、プール内から核燃料を直接取り出して地上まで下ろし、専用の容器(キャスク)に入れる〈2〉建屋横に鉄骨などで骨組みを作り、キャスクをプール横まで上げて核燃料を入れる――といった手段を検討している。


ただし、現状では放射線量が高い上、建屋のがれきがプールをふさいでいるため、作業に着手する時期のメドは立っていない。核燃料が大きく破損している場合は、キャスクも新たに開発する必要があるという。


4/12東電:2号機の汚染水移送を12日夜開始−4号機からサンプル水(1)ブルームバーグ

2号機の汚染水移送は午後7時35分に開始、700トンを40時間かけて移す。このほか同日は、コンクリートポンプ車を使い、燃料が一時露出した可能性のある4号機の使用済み燃料プールから400ミリリットルのサンプリング水を初めて採取した。これまでの検査の結果、水温は90度、周辺空間の放射線量は毎時84ミリシーベルトだったという。


4/11〜4号機は安定…米長官「プールに水ある」‐読売新聞

米エネルギー省のスティーブン・チュー長官は1日、福島第一原発使用済み核燃料プールの状態について、「1号機から4号機まですべてのプールに水があると考える」と述べ、安定しているとの見解を明らかにした。
チュー長官は「すべてのプールで温度計測ができ、(数字は)中に水があることを示している」と述べた。


燃料プールについては、米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長が3月中旬に米下院で4号機で「水がすべて沸騰し干上がっている」と証言したが、チュー長官の発言により日米の見解が一致した形となった。

日本の情報は統制されていて海外の報道だけが真実を伝えている、という偏った見方はこれまた危険。


3/28燃料プールへの放水、縮小へ ポンプでの注水が軌道朝日新聞

経済産業省原子力安全・保安院によると、2〜4号機では20日以降、燃料プールの水を循環させる既設の配管を使い、ポンプで海水を注入する作業が相次いで始まった。


東電によると、この注水によって、2、4号機ではいずれもプールからあふれた水を受け止めるタンクの水位計が上昇。東電は27日、2号機のプールは満水、4号機も満水の可能性があると判断した。
1号機でも現在、既設の配管を使った注水を始めるための工事が進んでいる。


コンクリートポンプ車による注水も27日、4号機に続いて3号機で始まり、2時間で100トンの水を入れた。長いアームでプールの真上から水を入れるため、放水よりも確実に水を入れられる。




■今後の見通し
4/14東電:福島第一原発冷却に3カ月見込む、「水棺」拒否−関係者ブルームバーグ

東京電力東日本大震災に伴う津波で冷却機能が喪失した福島第一原子力発電所の安定化には6月いっぱいかかると予想している。

東京電力は原子炉の「水棺」冷却を望んでいない。これにより最終的に海に流れ込む汚染水の量が増えるためだと、関係者は述べた。注水量を増やせば格納容器内の水素が圧縮されるため爆発のリスクが 高まることも懸念しているという。


…東電は危機解決の工程表を示していないが、関係者によると2週間前に解決計画の内部文書を作成し、原子炉の安定化の時期を6月末に設定したという。東電の清水正孝社長は今週、危機対策のスケジュールを「近く公表する」と述べていた。


4/14汚染水を「冷却」転用へ、近く新施設 着工‐TBSニュース

政府関係者によると、集めた汚染水の放射性物質の濃度を薄め、冷却水として再利用するための処理施設を新たに建設するというのです。
特殊なフィルターなどで汚染水から放射性物質と海水の塩分を取り除き、真水の状態にしてから、再び原子炉や使用済み燃料プ−ルの冷却用の水として使うという計画です。


14日の保安院の会見でも・・・
「例えば、タービン建屋の部分を含めて循環させるようなシステムを作れるかどうかとか、ある程度、水をきれいにする装置を外付けにしてやって(原子炉の水が)煮つまらないようにするとか、ひとつの例として、そういうことも考えられる」(原子力安全・保安院の会見、14日)


…まさに「一石二鳥」の名案にも見えますが、建設には少なくとも数か月はかかる見通しです。


4/13東芝、日立と共同で廃炉処理案…福島第一原発‐読売新聞

東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う廃炉について、東芝日立製作所に対して、共同で廃炉処理を行う提案をしたことが13日、分かった。


原子炉メーカーでもある東芝と日立は、独自に廃炉作業の工程や作業年数などを示した提案を東電に行っていた。4基が同時に重大事故を起こし、それぞれの廃炉作業を並行して行うのは世界でも例がない。爆発事故の影響で作業が難航する恐れもあるため、東芝が共同での廃炉処理を日立に呼びかけた。日立も、東芝と共同での廃炉処理について前向きな意向を示しているが、廃炉処理を終えるまでには10年以上かかるとみられる。


4/13原子炉冷却へ新システム検討 圧力容器丸ごと水没案も朝日新聞

いつまでも注水には頼れない。東電は水を循環させる従来の冷却システムの復旧を目指しているが、いまのところ見通しは立っていない。地震津波で配管やポンプが破壊されていることが予想される。補修の必要も予測されるが格納容器下部で毎時10シーベルトを超える場所もあり、作業員が近づけず作業は容易ではない。


このため、復旧ができない場合も十分考えられる。そこで建屋の外に仮設の冷却システムをつくり、循環させる案が浮上している。途中に海水による熱交換器や、ビルの空調に使われる空冷式の冷却塔などを設置し水を冷やすほか、循環水に含まれる放射性物質を取り除くため鉱物や活性炭などを使った浄化装置を置く検討も始まっている。タービン建屋に流れ込んだ汚染水を冷却・浄化して再び炉に戻す「大きなループ」(東電関係者)も検討している。枝野幸男官房長官は8日の会見で「採用の可能性があって効果のあることならば、急いで進めるようにと私からも投げかけている」と明かした。


格納容器ごと水没させる案は米原子力規制委員会(NRC)が勧めており経済産業省原子力安全・保安院も視野に入れている。米国の研究では、圧力容器全体を冷やすことで圧力容器の損傷を防ぎ、容器内の溶けた燃料など放射性物質を外に漏れださないようにできるメリットがあるという。一方で、格納容器を水で満たすには、圧力を下げるために放射性物質の放出を伴うベント(排気)を前提としている。ベントせずにいかに水を満たすかは課題だ。


4/111〜4号機個別復旧プラン策定 難題山積、実現性?産経新聞


4/8東芝「廃炉に10年半」 東電に計画案、期間短縮朝日新聞

東芝案は、事故発生から半年後に原子炉内が安定的な冷却状態になると想定した。この間にがれき撤去も進め、廃炉へ向けた作業環境を整える。続く5年間で原子炉圧力容器内の燃料棒や、貯蔵プールの使用済み核燃料を取り出し、別の容器に密閉して撤去する。
スリーマイル島(TMI)原発事故では核燃料の取り出しに11年かかったが、東芝は「法的な手続きや対策検討に時間を要した。いまは遠隔操作による作業など技術革新もある」(関係者)とし、技術的には5年で可能とみている。ただ、核燃料や解体後の廃棄物の処分の問題を解決することが5年の前提。政府は政治的決断を迫られる。
次の5年間では、すべての機器や設備を撤去。土壌改良も進めて更地にし、建設前の状態に近づける。


東芝案は、東電の要請を受け、東芝子会社のウェスチングハウスや、TMI原発事故で廃炉処理を担った米エンジニアリング大手が加わって作成。TMI原発は炉内の汚染物質の除去までに約14年かかったが、東芝はその経験を生かして期間短縮できるとみている。


4/8福島第一原発 「水棺」冷却を検討東京新聞

水棺では、圧力容器と格納容器をともに燃料棒の高さ付近まで水で満たし、高い熱を持つ燃料棒を冷やす。燃料棒が破損して放射性物質が漏れるのを抑える狙いもある。熱で蒸発する水は外部から注入。燃料棒が冷めて取り出せるようになるまで、少なくとも数年は続けるとみられる。
同本部は、現在1〜3号機で進めている格納容器への窒素の注入が終わった後で、1号機から作業に入ることを検討している。


格納容器は厚いコンクリートで囲われており、水を満たしても一般に強度の問題はないが、地震などで損傷していないことが条件。2号機は格納容器の圧力抑制室に損傷の疑いがあり、汚染水が外部に漏れ続ける恐れがあるため事前チェックが必要となる。水棺は、米国でも冷却水を喪失した重大事故時に取り得る手段として研究されている。福島第一原発の事故に関しても、米原子力規制委員会(NRC)が水棺に言及。「水の重さと格納容器の耐震性に留意すべきだ」と助言している。


4/6福島原発1〜3号機に屋外に水冷却装置検討 設備復旧よりも迅速‐産経Biz

深刻な状況が続く東京電力福島第1原子力発電所事故で、政府と同社で設置した事故対策統合本部が、1〜3号機の原子炉を安定的に冷やすため、建屋外部に水の循環・冷却システムを新たに構築することを検討していることが5日、分かった。既存のシステムの復旧が大量の汚染水に阻まれ、難航しているうえ、配管などの損傷によって水を循環させると汚染水として漏出する可能性があるためだ。放射線量の低い外部に構築すれば、作業員の被曝(ひばく)線量を抑えられるメリットもある。
既存設備の復旧と同時並行で進める。原子炉から建屋外に出ている5本の配管のうち2本を利用、途中に仮設の熱交換冷却装置を新たに設置してループ状につなぐ案などが浮上しており、必要な機材など具体的な調査に入る。大がかりな作業のため、月単位の時間がかかる可能性もあるが、既存設備の復旧よりも早いとの見方もある。実現すれば、原子炉冷却は大きく前進する。


…(中略)…汚染水の排出・回収のめどが立たないことから、統合本部は既存設備の復旧に加え、外部構築を選択肢の一つとして検討を始めた。すでに建屋外部に出ている5本の配管のうち1本に、仮設ポンプを設置して外部電源でタンクの真水を注入している。
関係者は、別のもう一本に海水との熱交換などの冷却装置を取り付け、タンクに戻し循環させることは可能とみている。
専門家からもかねて既存設備の復旧にこだわらず、外部構築を急ぐべきだとの指摘が出ていた。


エネルギー総合工学研究所の内藤正則部長は、「(既存設備の復旧には)汚染水の排除と除染に2週間から1カ月、機器の交換などにさらに1カ月がかかる」とし、外部構築の方が早いとみる。
「作業員の被曝を抑えられる」というメリットを指摘するのは、北海道大の奈良林直教授(原子炉工学)だ。その上で、「屋外なのでエアコンのような空冷式の熱交換も考えられるほか、米スリーマイル島原発事故の処理で使われたゼオライトで汚染水から放射性物質を除去することもできる」と提案する。
九州大の工藤和彦特任教授(原子力工学)も、「汚染水排出は人海戦術になってしまうので、高い放射線量の区域外で作業ができる、新たな残留熱除去システムの設置作業を並行してやった方が早いはずだ」と話している。


4/3放射性物質流出防止には数カ月 政権見通し朝日新聞

東電が一刻も早く進めたいのが、通常使っている原子炉の冷却システムを復旧させることだ。これが復旧すれば、炉内に十分な水を循環させることができ、炉内の水を100度未満にして安全な状態になる「冷温停止」状態にできる。これで原子炉や使用済み燃料プールの水を循環させて燃料を冷やす仕組みを「完全」につくったことになる。
この状態になれば、炉やプールの状態が安定するので、水蒸気爆発などで放射性物質が外部に出る恐れもなくなる。注水も終えることができる。
細野氏ら政権側が示した「数カ月」というメドも、冷温停止状態にたどり着く時期とみられる。

 
しかし、道のりは険しい。まずタービン建屋の地下にたまっている水を回収する必要がある。現在、作業を進めているが1週間はかかる見通しだ。
その上で、建屋内の放射線量をはかり、作業員が作業できる状態かどうかを確認する作業が必要だ。汚染された建屋内の壁や機器をきれいにして作業員が大量被曝(ひばく)しないようにもしなければならない。地震津波で配管や弁、ポンプは大幅に損傷を受けているとみられ、作業にも相当の時間がかかる。


東電は3日夕の記者会見で「今のところ、冷却装置の復旧見通しの時期的なメドはたっていない」と答えるにとどめた。


4/3冷却系復旧まで「月単位」=安全委時事通信

原子力安全委員会の代谷誠治委員は3日の記者会見で、福島第1原発の冷却システムが復旧し一定の安全性が確保されるまでの期間について、「月単位の時間がかかる。現場の状況により2、3カ月かもしれないし、5、6カ月かもしれない」との見解を示した。


代谷委員は「現場は津波や水素爆発の被害が大きく、水を循環させるループが完成するまでに月単位の時間がかかる。ループができれば放射性物質の流出は減る」と話した。


4/1廃炉に長い歳月 福島第一原発、予測は困難朝日新聞

そもそも原発廃炉は通常でも長期戦だ。燃料を取り出し原子炉に通じる配管をふさぐ。原子炉の放射能レベルが下がるまで5〜10年間、密閉状態にする。その後、原子炉を解体、撤去して最後に建屋を解体する。高い放射能が一挙に外に漏れないようにするため建物は放射能汚染のレベルが高い方から低い方へ解体するのが基本だ。


だが福島第一原発では、廃炉の場合に一番最後に解体される原子炉建屋が水素爆発などで大きく壊れた。タービン建屋地下に放射性物質を含む水がたまるなど、建屋の内外が高濃度の放射性物質で広範囲に汚染されている。汚染を遮るための構造物など、作業員が被曝を軽くできる環境を確保することが重要だ。
宇根崎博信・京都大原子炉実験所教授(原子力工学)は「国内の原子炉解体例から考えても、すべて終えて更地にするまでに最低20〜30年はかかるだろう」と見ている。


3/30原発安定3つのシナリオ 最短で1カ月以上 最悪なら数年‐産経ニュース

1〜3号機は、原子炉内の高濃度の放射性物質を含んだ水が、原子炉格納容器や配管、バルブなどの損傷で外部に漏れ出しているとみられ、循環・冷却システムも損傷している可能性が高い。汚染水は強い放射線を放出しており、修理や交換は困難だ。保安院でも「(損傷場所を迂回し)別のルートを使う」とし、代替ルートを検討している。


「ビルの屋上にあるクーリングタワー(エアコン室外機)のようなものを持ち込むなど、仮設の配管と熱交換装置で循環・冷却システムを構築できる」と指摘するのは、元東芝研究員の奈良林直北海道大教授(原子炉工学)だ。


放射線量の高い厳しい環境での作業となり、奈良林教授は「放射線を遮る鉄板やコンクリートのついたてを設置して道を作り、鉛の入った防護服と併用して安全を確保した上で、作業員が交代しながら工事を行うしかない」と話す。
スリーマイル島原発事故処理では、冷温停止後に燃料棒を取り出す際に同様の方法をとっており、ノウハウはあるというが、作業は数カ月に及ぶ可能性がある。


水素爆発などによる損傷が激しく、循環・冷却システムが復旧不能な事態も想定しておかなければならない。注水だけで核燃料を冷やさざるを得なくなった場合、どれだけの時間がかかるのか。京都大の宇根崎博信教授(原子力工学)は、「1年後には崩壊熱は現在の5分の1程度にまで小さくなる」と指摘。そうなれば、原子炉を満水にして、蒸発で減った分だけ水を補給する安定的な冷却が可能になるとみる。
だが、「本当の安定までには、そこから数年をみなければならない」(宇根崎教授)。原子炉の除染や解体などによる処理が始まるのはそこからだ。


3/29冷却作業、年単位で=2、3号機、圧力容器破損か―原子力安全委見通し時事通信

会見した代谷誠治委員は「核燃料の熱は運転を止めた瞬間に(運転時の)数パーセントに落ち、1〜2週間で1%に落ち、そこからはなかなか落ちない」と説明。原子炉の冷却に使った水を海水と熱交換して循環させる系統の復旧が必要だとした。
しかし、海水をくみ上げるポンプも故障し、発注だけでも数カ月かかるが、循環系統は1、2年で復旧させなくてはいけないと説明。破損した部分から漏れた汚染水を処理するために、池やプールのような貯蔵施設を準備する必要もあるとした。




■考え方
4/3放射能漏れ防止、「数カ月後に」=東電も目標明示を−細野補佐官時事通信

細野豪志首相補佐官は3日朝のフジテレビの番組で、東京電力福島第1原子力発電所からの放射性物質の漏えいを止めるめどについて、「これ以上の放射能の外部への排出は、もう許されない。おそらく数カ月後が一つの目標になる」と述べた。また、こうした目標を東電も国民に示すべきだとの考えを示した。

「こうした目標を東電も国民に示すべき」って何て他人事?


4/2平均測定値は避難基準以下 IAEA、飯舘村のヨウ素‐産経ニュース

国際原子力機関IAEA)当局者は1日、福島第1原発の北西約40キロにある福島県飯舘村の土壌から検出された放射性ヨウ素131の値がIAEA独自の避難基準を上回ったと指摘したことについて複数の測定値を分析した結果、平均値は避難基準を下回ったと明らかにした。ヨウ素131の半減期は約8日と短い。 当局者は記者会見で「測定値は低下傾向にあるが、日本政府には状況を注視するよう伝えている」と話した。

日本の政府機関は欺瞞だらけで海外の意見こそが正しい、という偏った見方はこれまた危険。


4/1IAEAと安全委、土壌めぐる見解相違で混乱‐読売新聞

福島県飯舘村で検出された高濃度の放射性物質を含む土壌を巡って、国際原子力機関IAEA)と内閣府原子力安全委員会の見解が分かれ、混乱が広がっている。
IAEAは独自の土壌調査を行い、日本政府に避難勧告を検討するよう促したが、安全委は「判断基準の物差しが違う。日本の方が総合的に判断しており問題ない」と反論している。


3/29原子炉圧力容器―損傷の恐れ直視し対策を朝日新聞

圧力容器は、直接見ることができない。温度や圧力の計測データから状態を推測するしかない。
その数値を十分に分析して、たとえ悪い情報であっても直視し、起こりうる事態をきちんと国民に伝えることが重要だ。

「たとえ悪い情報であっても直視し、起こりうる事態をきちんと国民に伝えることが重要」