Child 44/Tom Rob Smith

Child 44 (The Child 44 Trilogy)

Child 44 (The Child 44 Trilogy)

面白さ★★★★
易しさ★★★

暗い話です。かなり暗ーい展開です。鬱展開。

ただ一旦読み始めたなら、途中からの盛り返しに期待して最後まで読んでください。


話の流れとしては、主人公が権力側の捜索を逃れながらも自らの無実を証明するために必死、という映画逃亡者的状況になります。
が、そこは母なる大地ソ連バージョン、苦境パートの弾圧されっぷり・されっぱなしっぷりが半端ない


最初はきちんと地位のある主人公ですが、一度落とされるとどん底まで行きます。
基本的人権を奪われる系の落ち方です。怖いです。
私はこういう人権奪われ系どころか、周囲に完全誤解されつつ最後に大団円系、要するに小公女セーラ系の話すら苦手なので、その辺あまり気になさらない方ならこの本も普通に楽しめるでしょう。
主人公に感情移入すれば読むのがつらくなるし、客観的に見ようとするとつまんなくなるし、読書も大変ですね。


USアマゾンのレビューに『この話は前半最高なのに後半ひでえ』と書いてる人がいました。ですが、自分は逆です。
前半部分で作者の中の人のあまりな走りっぷりに読むのがつらくなり、後半になってようやく作者の中の人が伏線を回収し始めたので、ありがとうありがとう言いながら読んでました。


もちろんそこまで鬱展開なのにちゃんと読ませるストーリーになっているのも事実です。
苦境の中で奥さんが味方になってくれるかどうかとか、次はどいつが国家権力(殺人鬼じゃなく)の餌食になるのかとか、ページはどんどん進むのでさすが売れるだけのことはあるなと思います。
そこらの有名作家の平均的作品よりは確実に面白いのでそこ基準だとおすすめですが、ほかに読みたい本を積読してるならそちら優先で。