“推測のwould”と“seem to do”は似ている
“推測のwould do”とseem to doは似ているところがあります。
seem to doとの類似点 その1
seemというのは不思議なもので、話者の推測の気持ちが文の中に組み込まれています。
例えば、普通の動詞であれば話者の推測は
- I guess we're back to square one. ★
のように複文になるところです。
しかしseemの場合は、
- It seems that we all have a dinner date next monday. ★
のような複文の形と同時に、
- We all seem to be stressed out at work and at home. ★
のように単文でもOKです。
この時、seemは主語“we”とは何ら関係なく、話者の推測を表しているわけで、普通の動詞とは性質が全く異なります。(look, appearなんかもこの系統ですよね)
このように単文にもかかわらず話者の推測を表せてしまうところが、
- He would have fallen right on top of the gator. ★
- He could have declared his intention to run again on election night. ★
というwould/could/should/might have doneの形と似ています。
この場合も、先ほどのseemと同様に主語“He”とは全く関係なくwould/couldが話者の推測を表しています(主語の後ろに位置しているクセに!)。
seem to doとの類似点 その2
もう一つの類似点は、時制の変化の仕方です。
よく受験でやるのが次の書き換えです。
- (1)He seems to be furious. (話者の推測:現在、推測の内容:現在)
(It seems that He is furious.)
- (2)He seems to have been furious. (話者の推測:現在、推測の内容:過去)
(It seems that He was furious.)
- (3)He seemed to be furious. (話者の推測:過去、推測の内容:過去)
(It seemed that He was furious.)
- (4)He seemed to have been furious. (話者の推測:過去、推測の内容:さらに過去)
(It seemed that He had been furious.)
この機械的な書き換えが正しいかどうかは別にして、分類としてはやはり上のようになると思います。
これは以前紹介した下の表の5〜8とよく似ています。
seem to doに戻って見てみると、
(2)He seems to have been furious.
(4)He seemed to have been furious.
のところで、“話者の推測”と“推測の内容”との時制のズレが“have+過去分詞”を導くように説明されると思います。
これはwould have doneの場合も同様です。
ただし、大過去という感覚にとらわれるとこれまた間違える可能性が出てくるので注意が必要です。
ex.She said that she could have caught her dog.
(彼女は、犬を捕まえられたと言っていた。→彼女が言った時間より、犬を捕まえたことのほうが過去に起こった出来事)
<結論>
couldは、canの過去形
could have p.p.は、過去で表した内容より、過去の時制を表します。
赤字のところは間違いなのですが、これは大過去の考え方を適用しすぎたためです。
正しくは、could have caughtの形で彼女がした推測を表していて、「彼女が推測をしたまさにその瞬間よりも犬を捕まえられなかったことのほうが過去に起こった出来事」という関係になります。
saidのせいで時制の一致が起きてcould catchがcould have caughtになったわけではありません。
この辺は、大過去や仮定法過去完了で“時制を過去よりさらに後ろにずらすならとりあえず完了形を使っておけ”というような説明がいまだに残っているのが原因の一つだと思います。
かといって仮定法は時制の一致の適用を受けない、という説明だとこの場合少しあっさりですね。